指差しはなぜ大切?言葉やコミュニケーションの発達との関係

子どもの発達|OT視点

1歳半健診の項目として「指差し」が確認されることを知り、「そんなに大事なの?」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。言葉の発達との関係もよく言われますが、実際にどうつながっているのかはなかなかイメージしにくいですよね。

この記事では、作業療法士(OT)の視点から、指差しが大切な理由、言葉の発達との関係、そして日常の中でできる関わり方についてわかりやすく解説します。

指差しはなぜ大切なの?

指差しは、単に「指をさす動作」ではありません。散歩中に犬を見つけて指差しをする子どもを思い浮かべてみてください。その子は犬を見つけただけでなく、「ママも見て!」「一緒に見たい!」という気持ちを伝えようとしています。

つまり指差しは、人と気持ちや興味を共有するための大切なコミュニケーション手段なのです。

「あれを見て!」「あれ何?」「すごいね!」こうした気持ちを言葉なしに伝えられる手段が、指差しです。そしてこの「気持ちを共有する力」が、後の言葉やコミュニケーションの発達につながっていきます。

指差しの背景にある「共同注意」とは?

指差しの大切さを理解するうえで欠かせないのが、「共同注意」という考え方です。

共同注意とは、同じものや出来事に対して、人と一緒に注目を向けることをいいます。難しい言葉ですが、簡単に言うと「ねえねえ、あれ見て!」という気持ちを共有する力のことです。

  • 犬を見て「あ!」と指差しながらママの顔を確認する
  • 大人が「見てごらん」と言った方向を見る
  • おもちゃを持ってきて大人に見せる

こうした場面はすべて共同注意です。指差しは、この共同注意が目に見える形として現れたものとも言えます。

指差しと言葉の発達の関係

指差しが大切と言われる最大の理由は、言葉の発達と深く関係しているからです。

子どもは言葉を覚えるとき、大人と同じものを見ながらその言葉を聞いています。先ほどの犬の例で考えてみましょう。

子どもが犬を見つけて指差しをする

大人も犬を見る

「ワンワンだね」と声をかける

この流れの中で、子どもは「この動物のことをワンワンというんだ」と理解します。

もし子どもが犬を見ているときに、大人が別のものを見ながら「ワンワンだね」と言ったらどうでしょう。子どもは「何がワンワンなのか」が分かりにくくなります。言葉を覚えるためには、大人と子どもが同じものに注目していることがとても重要なのです。

この流れの中で中心的な役割を果たしているのが共同注意です。指差しは、言葉を理解する力、言葉を増やしていく力、人とのやりとりを楽しむ力の土台となっています。

指差しはいつ頃から見られる?

指差しや共同注意は、突然できるようになるわけではなく、段階を経て少しずつ育っていきます。

9〜10か月頃

大人が指差した方向を見るようになります。「大人は何を見ているんだろう」と人の視線や指差しに興味を持ち始める時期です。

11〜12か月頃

自分から指差しをする姿が見られるようになります。窓の外の車や犬を見て「あっ!」と指差しをするのは、大人に見てほしい気持ちが育ってきたサインです。

1歳〜1歳半頃

指差しをしながら大人の顔を確認する様子が増えてきます。「あれ見た?」「ママも見てる?」というように、気持ちを共有しようとする意図がよりはっきりしてきます。

2歳頃以降

言葉を使った共同注意へ発展します。「ワンワンいた!」「見て!飛行機!」など、言葉で相手の注意を引けるようになり、指差しは少しずつ言葉へと置き換わりながら発達していきます。

我が家で印象に残っている指差し

我が家の娘が初めてはっきり指差しをしたのは、1歳目前の頃でした

家の階段を通るたび、壁に付いているライトを指差し「あっ、あっ」と何か訴えていたのです。その度に「電気だね」と声かけていた結果、娘はパパ・ママ等の言葉が出始めてまもなく「でんき」と言うようになりました。強く惹きつけられる何かがあったのでしょう。

当時は何気ない出来事でしたが、振り返ると「見つけたことを共有したい」という気持ちが育っていたのだと思います。

指差しが少ないときに見たいポイント

「うちの子、指差しが少ないかも」と感じることもあるかもしれません。そんなときは、指差しそのものだけでなく、次のような様子も合わせて見てみましょう。

共同注意が育っているサイン
  • 大人が指差した方向を見る
  • 好きなものを見つけたとき表情が変わる
  • 大人の顔を確認する
  • おもちゃを見せに来る

発達は一つの行動だけで判断できるものではありません。指差しが少なくても、人への関心がある、一緒に遊ぶことを楽しめている、表情や視線でやりとりしているのであれば、共同注意は育っている可能性があります。

注意したい様子
  • 指差しがほとんど見られない
  • 大人が指差した方向を見ない
  • 人の顔を見ることが少ない
  • 見つけたものを共有しようとしない

このような様子が複数重なる場合は、少し意識して経過を見てもよいでしょう。気になる場合は、小児科や地域の発達相談を利用することも一つの方法です。

模倣やごっこ遊びとの関係

指差しは、言葉だけでなく模倣やごっこ遊びとも深く関係しています。

模倣(まねっこ)について考えてみると、子どもはバイバイ、パチパチ、いただきますなど、大人の動きを見て真似するようになります。

しかし真似をするためには、まず人に注目する必要があります。共同注意が育つことで人への関心が高まり、模倣もしやすくなっていきます。

ごっこ遊びも同様です。「ぬいぐるみにご飯をどうぞ」という遊びは、「これは本当のご飯じゃないけど、ご飯のつもりにしよう」という世界観を一緒に共有しています。同じものを見て、同じイメージを共有して、一緒に楽しむ。この力の土台にあるのも、共同注意です。共同注意が育つことで、ごっこ遊びも少しずつ広がっていきます。

おうちでできる関わり方

子どもの「見て」に反応する

子どもが“何かを見て→大人の顔を見て→また何かを見る”といった様子は、共同注意の始まりです。「ワンワンだね」「大きい車だね」など言葉を添えて返してみてください。「見てほしい」という気持ちに応えてもらう経験が、共同注意を育てます。同時に、言葉を覚える機会にもなります。

一緒に見る機会を増やす

共同注意は、特別な訓練で育つものではありません。散歩中に花を見る、空を飛ぶ飛行機を見る、絵本を一緒に読むなど、日常の中で十分育っていきます。まずは「一緒に見る」経験を増やすことを意識してみましょう。

大人から指差しをして見せる

「見て、ちょうちょだよ」「お月さまだね」と指差しながら伝えることも効果的です。最初は反応がなくても問題ありません。繰り返しの中で「指差した方向を見ると何か面白いものがある」という経験が積み重なっていきます。

顔を見るタイミングを大切にする

子どもが遊んでいる途中、ふと大人の顔を見ることがあります。これは「見てる?」「一緒に楽しいね」という共有のサインかもしれません。そのタイミングで笑顔を返す、言葉を添える、一緒に喜ぶ。こうした小さなやりとりの積み重ねが、共同注意やコミュニケーションの力を育てていきます。

まとめ

指差しは、言葉が出る前から始まる大切なコミュニケーションです。その背景には「共同注意」という力があり、言葉の発達はもちろん、模倣やごっこ遊びの土台にもなっています。

「指差しが少ないな」と感じたときは、できていないことに注目するより、子どもが何に興味を持ち、どんなふうに人と共有しようとしているかを見てみてください。

毎日の小さなやりとりの積み重ねが、言葉やコミュニケーションの力を育てていきます。


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この記事を書いた人
作業療法士ママ 雀

作業療法士として発達支援に携わりながら、2歳娘の子育てに奮闘中。

このブログ「はぐリズム」では、子どもの発達や遊びについて、専門知識と子育て経験の両方の視点から発信しています。

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