「ご飯だよ」と声をかけても遊びをやめない。
食卓についてもすぐ立ち上がる。動画や絵本がないと食事が進まない…。
子どもの食べない悩みというと、偏食や好き嫌いを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも実際には、「嫌いというより、そもそも食べることへの興味が薄そう」と感じる子に出会うことがあります。
作業療法士として関わる中でも、食べる力そのものというより、食事への関心がまだ育ち途中なのかもしれないと感じる場面があります。
今回は、食事より遊びを優先しやすい子の特徴や、関わり方についてまとめます。
食べないから嫌いとは限らない
子どもが食べないと、好き嫌い、偏食、味覚の問題などを考えやすいですよね。
もちろんそれもありますが、なかには「食べることの優先順位がまだ低い」タイプの子もいます。特に小さい子は、遊びたい、動きたい、気になるものを見たいといった気持ちがとても強い時期。そのため、食事よりも目の前の遊びや刺激に意識が向きやすいことがあります。
大人から見ると「お腹空いてないのかな?」と思っても、遊びに夢中で空腹感より興味が勝っていることも少なくありません。

食事への興味が薄い子に見られやすい特徴
食事への興味が薄い子では、こんな様子が見られることがあります。
もちろん、これだけで問題というわけではありません。ただ、「食べられない」というより、食事そのものへの関心がまだ弱い状態の子もいるように感じます。
実際に関わった中で感じたこと
以前関わったお子さんの中にも、食事への興味がかなり薄い子がいました。
本当に驚くほど食への関心が低く、動画や絵本など、別のものに注意が向いていないと食事がなかなか進まない状態でした。
「食べる」という行為自体へのモチベーションが弱い印象で、食べ物への反応も全体的に薄め。ただ、関わる中で少しずつ変化も見られました。
ある時期から、その子の好きな食べ物が出てきたんです。
すると、それまでは何かを見ながらでないと難しかった食事も、好きなものなら最初のうちは何もなしで食べられる場面が増えてきました。
この変化を見て、「食べる力がない」というより、食べたいと思えるきっかけがまだ少なかったのかもしれないと感じたのを覚えています。
遊んでから食事のほうが進みやすい子もいる
私が関わっていた場面では、時間の都合上、到着してすぐ食事になることも多かったのですが、他施設の情報では「たくさん遊んでから食事にすると進みやすい」という話を聞いたことがあります。これはとても興味深いと思いました。
子どもによっては、このような理由で遊んだ後のほうが座りやすいこともあります。
特に感覚欲求が強めの子は、先にしっかり体を動かすことで落ち着きやすくなる場合もあります。
もちろん、生活スケジュールによって難しいこともありますし、すべての子に当てはまるわけではありません。
でも、「まず食べさせなきゃ」だけではなく、どんな流れならこの子は入りやすいかな?という視点で考えることも大切なのかもしれません。
食事への興味が薄い子への関わり方
まずは食卓に来るを目標にする
最初からしっかり食べることを目標にすると、お互い苦しくなりやすいです。
まずは、食卓に来て座れたことや、一口食べられたことなど、小さな成功体験を積むことも大切です。
好きなものを入口にする
「好き」が見つかると、食事への関心が育つきっかけになることがあります。
最初は栄養バランスより、“食べたい気持ち”を育てることを優先しても良い場面はあると感じます。
切り替えの予告をする
遊びに集中している子ほど、急な切り替えは難しいもの。
「あと5分でご飯だよ」「これ終わったら食べようね」など、見通しを伝えると入りやすいことがあります。
動画を見ながら食べるのは絶対ダメ?
動画視聴については悩む方も多いですよね。
もちろん、食事そのものに注意を向けられるのが理想ではあります。
ただ、食事へのハードルがかなり高い子の場合、食べる経験を積めるという意味では一時的に役立つこともあると感じます。他に興味が向いていることで、食べることが極端に辛い経験にならないというメリットもあります。
我が家の娘も、離乳食の頃は食事が進みにくく、動画や歌が流れていると口を開ける時期がありました。
先ほど紹介したケースでも、最初は絵本や動画が必須だったお子さんが、食べ物を口にする経験を積むことで好きな食べ物が見つかり、少しずつ食事そのものへ注意を向けられるようになりました。
今どの段階なのかを見ながら、少しずつ移行していけるといいのかもしれません。
まとめ|「食べない」ではなく、まだ興味が育ち途中のことも
子どもの「食べない」には、いろいろな背景があります。なかには、「嫌いだから食べない」のではなく、食べること自体への興味がまだ薄いという子もいます。
そんな子に対しては、無理に食べさせたり、叱ったりすると逆効果です。
その子に合う環境や流れを探しながら、「食べるって悪くないかも」と安心できる時間になることを願っています。「好きな食べ物ができた!」といった経験を、少しずつ積み重ねていけるといいですね。
食べさせてあげれば食べるという場合は、手の育ちが関係しているかもしれません。


